先日、2021年2月4日に新しく発売した完全ワイヤレスイヤホン「Mu3」をレビューさせていただきました。
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個人的にオーケストラ曲を聴く際のメイン機として、外出時だけでなく在宅時も使用するほど気に入っています。
今回は、私が所有している他の完全ワイヤレスイヤホンと聴き比べて音質面で比較をしていきたいと思います。
視聴環境・曲・比較機種
Androidスマートフォン(OPPO Reno3 5G)とBluetooth接続。
コーデックはそれぞれの最高品質で接続。
曲はブラームスの交響曲第1番第4楽章(ラトル/ベルリン・フィル)。
Amazon Music HDで視聴しています。
比較機種は以下の4つ(随時追加予定)
- Noble Audio『FALCON PRO』
- AVIOT『TE-BD21j』(アップデート前EQ有効)
- Sennheiser『MOMENTUM True Wireless 2』
- Bang&Olufsen 『Beoplay E8 3rd Generation』
曲の詳細部分で比較
冒頭コントラファゴットと低弦、ティンパニーの量と質
Mu3
引き締まった低音が鳴っていて、量は決して多くはないけれど十分。
ティンパニーは芯のある音でホールのような綺麗な残響感がある。
FALCON PRO
比較的タイトな低音ですが、Mu3に比べると若干やわらかい音で、量は多くはないが十分。
ティンパニーは芯はあるがぼやっとした響きも混じっている。
TE-BD21j
コントラバスが耳に響くほど量は多め。
ティンパニーは芯があいまいで音量が多い。
MOMENTUM True Wireless 2
コントラバスが響く強さがありますが、若干平坦に聴こえる。
ティンパニーはもやもやしていて明瞭感がなく、うるさく感じた。
Beoplay E8 3rd Generation
腰高な低音で量も少ない。
ティンパニーはぼわんとした低域部分がないためすっきりした印象。
ただ、芯はあいまいでぼやけている。
続くピチカート部分(39秒~)(1分37秒)
Mu3
楽器間の音量バランスが本当に丁度よい。
低音は最後までぼやけることなく立ち上がりのよい締まった音。
定位感が良く、ピチカート後の残響感がホールでの響きに近いので、対向配置をイメージして聴くとホールの客席から聴いているように錯覚する。
FALCON PRO
音質以前の問題で音と一緒にリズムを刻むノイズがひどい。
コントラバスのピチカートのたび「シュワッ、シュワッ」と聴こえてきていくら音がよくてもこれは無理。
楽器間のバランスはとても良い。
低音は最後若干ぼやけますが、一定してイメージさえすれば両ヴァイオリンの間から聴こえてくる。
Mu3に比べ最後の音はあまり響いていかない。
TE-BD21j
気にならないレベルですが、FALCON PRO同様のノイズが意識すると聴こえる。
ハイブリットドライバーならではの現象なのかもしれないです。
コントラバスが響いてきますが、ヴァイオリン側も強めなのでバランスとしては悪くない。
低音の立ち上がりも悪くないですが、響きが残るのでテンポが上がってくるとぼやけてくる。
またクレッシェンドしていく過程で低音が左右に広がってしまいヴァイオリンとの位置関係がずれる。
MOMENTUM True Wireless 2
コントラバスが強すぎる。
そして立ち上がりも悪くはじいた後にボワーンと響くためテンポが上がると芯がなくなる。
TE-BD21jと同様に、低音とヴァイオリンとの位置関係がずれる。
Beoplay E8 3rd Generation
低音側は響きがほとんどない。
そのかわりヴァイオリンははじいた後に音が綺麗に広がる。
ただ全体的に音がこもりがちで神秘的ですが、クリアさは感じにくい。
1st・2ndヴァイオリンの掛け合い部分(2分15秒~)
弦楽器の対向配置によるステレオ効果で、音が左右に揺れ動く部分です。
Mu3
揺れ動きは感じますが、かなりの前方定位で真横から音が聴こえてくる感じがないので幅は狭い。
FALCON PRO
左右に広い音場が影響してか、かなりはっきりと音が目の前を左右に揺れ動く。
TE-BD21j
こちらも十分ステレオ感を感じる。
MOMENTUM True Wireless 2
きちんと揺れ動きを感じますが、FALCONやTE-BD21jに比べると動き幅が狭いように感じる。
ただ決して定位が前方方向にあるわけではない。
Beoplay E8 3rd Generation
Momentumと同様な感じ。
ただこちらはMu3ほどではないですが、かすかに前方定位。
ホルンソロ(2分43秒~)→フルート(3分14秒)→トロンボーンのコラール(3分47秒~)
Mu3
ここの部分はMu3が圧倒的に良い。
曲を通じて感じることなんですが、この部分は特にオーケストラの配置上から各楽器が鳴っていて、すべて音がホールの舞台から聴こえてくる感覚になる。
ホルン、フルート、トロンボーンすべてが吹き始めてから音がファッと広がっていくので距離感を感じ易い。
ミュートをつけたヴァイオリンがきちんとホルンそろより前にいるように聴こえて感動してしまった。
FALCON PRO
真横か頭の中に音が鳴っているので、ヴァイオリンとホルンの位置関係を音からつかむのはかなりの想像力が必要。
また、音が左右に広がりすぎでフルートは前方でなく右側から鳴っている。
そしてフルートの響きがあまりなく和楽器のような音色で聞こえる。
TE-BD21j
ホルンなどの管楽器が吹き始めから強めに聴こえてくるためどうしても奥行きを感じにくい。
そのためヴァイオリンとホルンの位置関係はイメージしないと把握できない。
そしてフルートは真横から聴こえてくる。
MOMENTUM True Wireless 2
まずホルンソロの音色がくすんで聴こえる。
ヴァイオリンとホルンの位置関係や、フルートの聞こえ方などFALCON PROと同様。
音に明瞭さがないのでよりオーケストラとしての立体感が出てこない。
Beoplay E8 3rd Generation
まずミュートをつけたヴァイオリンが神秘的で美しい。
ただホルンとの距離感はあまり感じないため位置関係は把握しづらい。
フルートはきちんと前から聴こえる。
第1主題開始(4分44秒~)
Mu3
Mu3は楽器間のバランスが良く、調和した音色でありながら、分離感も良くすっきり整理された音。
FALCON PRO
メロディーのヴァイオリンは聴き取りにくく、ヴィオラがはっきりと聴こえる。
正直バランスが悪い。
TE-BD21j
TE-BD21jは低音のぼわっとしたピチカートが強めに出ていますが、ヴァイオリン、ヴィオラのバランスは良い。
少しウォームすぎるため暗めの音色になっているのは好みが分かれるかもしれません。
MOMENTUM True Wireless 2
TE-BD21jに近い。
より曇った音で、よく言えば落ち着いた音ですが、少し音色が暗すぎる。
Beoplay E8 3rd Generation
少し曇った音色が神秘的だが、この曲に合ってない。
楽器間のバランスは良い。
※ここまで疲れてしまったのでコーダに飛びます。
コーダ部分(15分20秒~)
Mu3
リズムを刻む弦楽器は横に広がり、合いの手を入れる管楽器が中心よりで聴こえてくる。
正にオーケストラの配置そのまま。
ここが1番、ホールの客席から聴いていると感じれる部分。
FALCON PRO
すべての楽器が横に広がり奥行きが全く無い。
一応弦楽器よりは内側に管楽器がいるが、完全に左右に分断されている。
単体で聴くと音自体は凄くクリアに聴こえるが、Mu3と比べると曇っている。
ウォーム系でもないので完全にMu3の下位互換に感じてしまう。
TE-BD21j
楽器が近く左右に平坦に広がってしまっていて、定位感はFALCON PROに近い。
ティンパニーと低弦の厚みが凄くて、勢いがあります。
その上できちんと高音バランスよくなっています。
MOMENTUM True Wireless 2
楽器間の位置関係はしっかりしている。
客席にいるというよりも指揮者の位置で聴いているような感じ。
ただ音色のクリアさが全く無いので楽器から音が出ているような感覚にはならない。
Beoplay E8 3rd Generation
Momentum同様定位感は良いが楽器が近い。
Momentumが指揮者の位置だとしたら、最前列ぐらいの距離感。
ただそれは距離感だけの話で、音色は曇っているし、低音は軽いので、イヤホンで聞いている感覚からは離れない。
金管と弦楽器によるコラールの華やかな再現部分から終結(15分42秒~)
Mu3
メロディーのヴァイオリンは左前方、トランペットは真正面かから聴こえ、定位感は本当に良い。
最後までホールの客席ど真ん中で聴いているような響きと定位だった。
FALCON PRO
ヴァイオリンは左側真横、トランペットは右側真横から聴こえ、中心はティンパニーしかいないように感じる。
TE-BD21j
ヴァイオリンこそ左前方から聴こえますが、トランペットは右横から聴こえてくるため、FALCON PRO同様、中心からはティンパニーしかいないような感じ。
MOMENTUM True Wireless 2
定位感はMu3同様に前方向から聴こえるがやはり楽器が近い。
Beoplay E8 3rd Generation
Momentumと同様。
Noble Audio『FALCON PRO』
先に結論を言うとオーケストラには圧倒的にFALCON PROよりもMu3をおすすめします。
なぜならば、確かに音一つ一つはとても良いのですが、音質以前にFALCON PROのホワイトノイズは正直常に最大音量がなっているようなジャンルの曲でないと、我慢できないレベルにあります。
また、FALCON PROは音が近くで鳴り、それが左右で分離するためオーケストラとしての調和感が薄れます。
FALCON PROはリスニング向きではないのではないかと思います。
FALCON PROに興味を持つ方は、全音域満遍なく鳴り、解像感の高いクリアな音を求めているのではないかと思います。
そして、Mu3とFALCON PROを比較すると、「少し硬質でクリアな音」「フラット傾向」という点で音の性格は似ています。
そのため、ホワイトノイズの多いFALCON PROよりもMu3がお勧めです。
低音
低音の量・質共に似ています。
でしゃばらず、立ち上がりの良い締まった低音です。
FALCON PROのほうが少しだけやわらかい音色。
Mu3はより締まった低音です。
中高音
Mu3のほうがよりクリアに聴こえてきて全体の印象が明るくなります。
綺麗な残響があり、立体的な音です。
FALCON PROはMu3と比べると若干響きが少なくこもっていて、平らな音に聴こえます。
音場&定位感
左右の広がりはFALCON PROのほうが広めです。
奥行きはMu3のほうが感じます。
Mu3はかなり前方定位です。
これは音が遠く小さいという意味ではなく、音が前方から聴こえてくるイメージです。
この前方定位はオーケストラを立体的にして、大げさに言うと、まるでホールで聴いているような感覚になります。
FALCON PROはもっと楽器が近くて真横から聴こえてきます。
そして定位感は結構ぐちゃぐちゃです。
その他気になったこと
音質とは関係ないですが、FALCON PROには「サー」というホワイトノイズが結構あります。
音量が小さめなところや、オーケストレーションの薄いところではかなり気になるレベルです。
そして、ピチカートなど音の間に隙間があると、ホワイトノイズも途切れるのでノイズがリズムを刻みます。
これはノイズ鳴りっぱなしよりも不快です。
またFALCON PROは接続を繰り返していると、接続に失敗したり左右どちらかにしか接続できないことがありいらいらしました。
これは機器との相性の問題かもしれませんが。
周波数特性(個人測定)
※素人の個人測定のため信頼性は低いことをご承知の上、あくまで当ブログ内での比較で用い参考程度にとどめてください。
赤が『Mu3』です。
AVIOT『TE-BD21j』(アップデート前EQ有効)
まずはTE-BD21jも音が左右に分離しがちで「オーケストラに向いています」とは言い切れないです。
ただ相対的に今回比較した中ではオーケストラを聴くのにも悪くないイヤホンではあると思います。
音質的にはぼやぼやした低音が邪魔に感じる場面も多々ありますが、それが音の厚みにつながる部分でもあります。
- Mu3はクリアで硬質な綺麗な音。
- TE-BD21jはぼやっとするけれど温かみのあるゴリゴリ系な音。
という印象でした。
Mu3とTE-BD21jは音の方向性が全く違います。
TE-BD21jはどちらかといえば次の、MOMENTUM True Wireless 2に近いと思います。
低音
TE-BD21jのほうが厚みがあります。
ただすこしボヤーとする印象です。
Mu3のほうがタイトで立ち上がりも良いですね。
中高音
Mu3はクリアでくっきりした綺麗な音色です。
クリアすぎるため、多少硬めに感じる方もいるかもしれないですね。
TE-BD21jはMu3と比べるとこもった音でクリアさは全くないです。
どちらかといえば温かみを感じる音色です。
音場&定位感
音場は左右、奥行きともMu3のほうがほんの少し広い印象です。
ただ、低音だけはTE-BD21jは真横まで広がってきます。
FALCONのところでも書きましたが、Mu3はかなり前方定位です。
TE-BD21jも比較的前方から音が聴こえる事もありますが、低音がより外側から聴こえてくるためコントラバスの位置が少しつかみにくいのと、ティンパニーの打音と残響音が少しずれて聴こえます。
またMu3と比べてしまうとやはり楽器は近くから聴こえます。
ハイブリッドドライバーは左右に音が分離しがちなんでしょうか・・・
その他気になったこと
FALCON PROほど酷くはないですが、TE-BD21jも音に隙間ができると途切れるノイズが少し聴こえてきます。
ハイブリッドドライバーの宿命なのかもしれません。
TE-BD21jは曲を停止して再度再生すると、左右に再生開始のラグが発生します。
周波数特性(個人測定)
※素人の個人測定のため信頼性は低いことをご承知の上、あくまで当ブログ内での比較で用い参考程度にとどめてください。
赤が『Mu3』です。
Sennheiser『MOMENTUM True Wireless 2』
正直MOMENTUM True Wireless 2は、FALCON PROとは違う理由でオーケストラ曲には全く向いていないと思います。
中高音はこもった音で温かみのある音ですが、リバーブのかかった強すぎる低音に負けてしまいます。
ヴァイオリンが煌びやかに聴こえてほしいところを、盛り下げてしまうような音です。
高音質として有名なMOMENTUM True Wireless 2ですが、各帯域バランスよく鳴り、盛り上げるところは盛大にしてほしいオーケストラ曲とは相性が悪いですね。
どうしても硬質でクリアな音よりも温かみのある音が好みならば、音質面ではTE-BD21jをおすすめします。
ただ、オーケストラをよく聴かれる方にはぜひ『Mu3』を聴いてほしいです。
試聴環境がなかなか無いので難しいですが・・・。
低音
量感はMOMENTUM True Wireless 2の方があります。
ただ、Mu3の低音は、MOMENTUM True Wireless 2のようなリバーブのかかったボワーとした音ではなく輪郭のはっきりした低音で、立ち上がりも早い印象です。
中高音
MOMENTUM True Wireless 2の中高音は鳴ってはいるけど・・・という感じです。
角のないこもった音でMu3と比べるでもなくクリアな感じはないです。
音場&定位感
聴いていて差を感じるのは、楽器との距離がMu3は前方定位で、MOMENTUM True Wireless 2は近いというところです。
楽器の位置関係については同等の定位感です。
その他気になったこと
接続してから音が出るまでに時間がかかり、アナウンスが接続したといってもしばらくはスマホから音が出ます。
そのため耳にはめた後で毎回しばらく待ちます。
しかもどのタイミングでイヤホンから音が出るのかは分からないので、結構いらいらします。
Mu3は接続めちゃくちゃ早いです。ケースから取り出し耳に持ってくるまでの間に完了していることも多いですね。
周波数特性(個人測定)
※素人の個人測定のため信頼性は低いことをご承知の上、あくまで当ブログ内での比較で用い参考程度にとどめてください。
赤が『Mu3』です。
Bang&Olufsen 『Beoplay E8 3rd Generation』
音質を総合的にみると断然Mu3のほうがいいですしおすすめします。
ただ、Beoplay E8 3rd Genは音源や気分によって聴きたくなることがある不思議な音質のイヤホンです。
- 低音から高音までバランスよく総合的に良い音質のMu3
- 神秘的で美しい高音が唯一無二のBeoplay E8 3rd Gen
といった感じです。
低音
低音は間違いなく量質共にMu3の方が上です。
Beoplay E8 3rd Genの低音はとても軽いです。
ティンパニーなどは「トンッ」です。
中高音
完全に好みだと思います。
Mu3はすべてがクリアではっきりとした音です。
たいしてBeoplay E8 3rd Genは凄く美しく神秘的な高音を鳴らしてくれますが、こもり気味であることは確かで、もう少しテンションの乱高下が少ない曲のほうが向いている気がします。
音場&定位感
今回比較した中ではBeoplay E8 3rd Genが1番、音場と定位感はMu3に近いです。
それでもやはり頭内定位感は残りますので、いかにMu3が前方定位感が強いかが分かりますね。
その他気になったこと
常時ホワイトノイズがあります。
FALCON PROと違って、音が鳴っているとあまり気にならないことも多いですが、さすがに全休止だったり、最小音量部分では「サー」という音が聴こえます。
周波数特性(個人測定)
※素人の個人測定のため信頼性は低いことをご承知の上、あくまで当ブログ内での比較で用い参考程度にとどめてください。
赤が『Mu3』です。
Klipsch 『T5Ⅱ TRUE WIRELESS』
周波数特性(個人測定)
※素人の個人測定のため信頼性は低いことをご承知の上、あくまで当ブログ内での比較で用い参考程度にとどめてください。
赤が『Mu3』です。
その他後日追記予定。
SHANLING『MTW100-BA』
周波数特性(個人測定)
※素人の個人測定のため信頼性は低いことをご承知の上、あくまで当ブログ内での比較で用い参考程度にとどめてください。
赤が『Mu3』です。
その他後日追記予定。
Monster『Achieve 100 AirLinks』
周波数特性(個人測定)
※素人の個人測定のため信頼性は低いことをご承知の上、あくまで当ブログ内での比較で用い参考程度にとどめてください。
赤が『Mu3』です。