メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を解説!上品でカッコいいコンチェルトの王道

メンデルスゾーンヴァイオリン協奏曲の楽譜 クラシック音楽

ヴァイオリン協奏曲の王道といえば間違いなくメンデルスゾーンですよね!

哀愁と華やかさのバランスがとれ、美しいメロディーがたくさん。
何より休みなく独奏ヴァイオリンが活躍し続ける様は、これぞ「ヴァイオリン協奏曲」です!

そして、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲はとても有名な曲でもあります。
おそらく、曲の冒頭部分は日本中の人が聞いたことあるのではないでしょうか。

今回はそんな超有名なヴァイオリン協奏曲の王道であるメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲について聴く際にちょこっと知っているともっとこの曲が楽しめちゃう曲の背景紹介&曲解説をしていきます。

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メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲の背景をご紹介

メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲は1844年9月16日に完成しています。

この曲のことがメンデルスゾーンによって最初に語られたのは、1838年メンデルスゾーン自身が常任指揮者であったライプツィヒ・ゲヴァントハウスのコンサート・マスター、フェルディナント・ダーヴィトに送った手紙です。

その手紙には、「ダーヴィトにホ短調のヴァイオリン協奏曲を贈る」といった内容が書かれていました。
つまりメンデルスゾーンはこのヴァイオリン協奏曲をダーヴィトのために作曲したということです。

また、メンデルスゾーンとダーヴィトは生家が同じアパートのため家族ぐるみの関係だったようです。
そのためメンデルスゾーンはこのヴァイオリン協奏曲の独奏パートについて、ダーヴィトから多くの技術的なアドバイスを受けています。

そのようにして、最初の手紙から数えるとおよそ6年をかけ、メンデルスゾーンはこのヴァイオリン協奏曲を作曲しました。

初演の独奏ヴァイオリンはもちろんダーヴィト。
指揮者はメンデルスゾーンの予定でしたが、体調を崩し副指揮者が行っています。

メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲・・・曲解説

演奏時間として30分弱。
多くの協奏曲と同じように「急‐緩‐急」の3楽章構成ではありますが、3つの楽章は切れめなく続けて演奏されます。

これはダーヴィトの提案であったといわれています。

演奏時間や楽章ごとのバランスがよく、哀愁と華やかな明るさを兼ね備えたとても心に残る名曲ですね。

それではメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を、各楽章ごとに解説していきます。

第1楽章 Allegro, molto appassionato

第1楽章(YouTube)

オーケストラ伴奏にのって、すぐに独奏ヴァイオリンが第1主題を提示します。
第1主題はとても上品で哀愁漂う流れるようなメロディーです。
とても有名なメロディーなので、誰もが1度は聴いたことのあるのではないでしょうか。

第1主題の提示後、そのまま独奏ヴァイオリンが細かい3連符や連続したオクターブの重音など、演奏技術を駆使したフレーズを演奏します。

そしてオーケストラによる第1主題へと続いていきます。
その間25小節ですが、この後から独奏ヴァイオリンはほぼ休みなく弾き続けることになります。

オーケストラによる第1主題の後、第1ヴァイオリンとオーボエが経過主題を演奏し、すぐに独奏ヴァイオリンが引き継ぎます。
この経過主題は展開部やコーダでも登場します。
ここから第2主題の提示まで、独奏ヴァイオリンの演奏技術を駆使したフレーズが次々に登状します。

その後、独奏ヴァイオリンが徐々に音量とテンポを落としていき、木管楽器による第2主題の提示に入っていきます。
この8小節の間、主導権はオーケストラに移っていますが、実は独奏ヴァイオリンは休みではなく最低音のソを伸ばし続けているんです(ロングトーン)。
そして第2主題を独奏ヴァイオリンが引き継ぎ、穏やかな音色で弾き始めます。

提示部の終わりから独奏ヴァイオリンが休むことなくそのまま第1主題の形を弾き始めます。
ここから展開部です。
展開部の前半は独奏ヴァイオリンによる細かい3連符の嵐です。

独奏ヴァイオリンがここまでの最高音にたどり着くと、雰囲気を変えるようにオーケストラによる全音符2つの伸ばしがはさまり、独奏ヴァイオリンが第1主題の変形を力強く演奏します。

その後独奏ヴァイオリンによって経過主題が急き込むように演奏されます。
そして落ち着いた雰囲気にもどり独奏ヴァイオリンの流れるようなフレーズに移っていきます。

独奏ヴァイオリンのアルペジオの裏で第1主題の音形がオーケストラによって3回連続で演奏されそのままカデンツァに入っていきます。

カデンツァですが、この曲はすべての音符がメンデルスゾーンによって書き込まれています。
アルペジオが大半を占めている華麗なものになっています。

そして、カデンツァの後半「弓を弾ませてスラースタッカート」でアルペジオを弾く独奏ヴァイオリンにのって、途中からフルート、オーボエ、第1ヴァイオリンが第1主題を演奏しだします。
ここからが再現部になります。

「ここからがカデンツァ」「ここまでがカデンツァ」という区切りが始まりと終わりのどちらもなく、流れるように移行していくため、カデンツァがより曲に溶け込んでいます。
特に終わり部分のカデンツァを弾いていた独奏ヴァイオリンがいつのまにか再現部第1主題の伴奏になっているところは本当にみごとです。

再現部では、第1主題の再現は独奏ヴァイオリンには登場せずあっさりと終わります。
逆に第2主題は型どおりホ長調でそのまま再現されます。

第2主題の再現が終わるとそこから長いコーダとなります。
コーダの大半は展開部を再現するかのようにほぼ同じ形です。

最後は独奏ヴァイオリンが快速で華やかに駆け抜け、情熱的に曲を終えます。

第2楽章 Andante

第2楽章(YouTube)

第1楽章から切れ目なくファゴットによって第2楽章に導入されます。

主部主題は優しいオーケストラにのって独奏ヴァイオリンが優美に提示します。
非常に甘く美しいメロディーで、高音のヴァイオリンらしい音色がきわだちます。

中間部は重々しい雰囲気となります。
まずはオーケストラが中間部主題を演奏し、これを独奏ヴァイオリンが引き継いでいきます。
独奏ヴァイオリンは重音によって自身でメロディーと伴奏を同時に行います。
このように緩徐楽章にも演奏技術を駆使したフレーズが登場します。

その後主部主題にもどり静かに消え入るように終わります。

第3楽章 Allegreto non troppo

第3楽章(YouTube)

冒頭は第2楽章の中間部主題の形を使った序奏から始まります。

輝かしく鳴り響く管楽器とティンパニ、そして間にはいる軽快な独奏ヴァイオリンが雰囲気を一気に明るく変えます。
この軽快な独奏ヴァイオリンは第1主題の動機を4回繰り返した後、第1主題に入っていきます。
この主題は、音が前へ前へとどんどん進んでいきます。
また飛び跳ねるような楽しい音楽で、実際に演奏シーンをみると弦を押さえる左手が上下に飛びまわっています。

そのまま技巧的なパッセージを颯爽と弾き続けて、最後はアルペジオから音階を駆け上り弾ききって第2主題に移ります。

第2主題はまずオーケストラによって提示され、その後独奏ヴァイオリンに引き継がれます。
この第2主題は第1主題と比べると音が横にも広がっていくイメージです。
揺れ動く音色が優雅な雰囲気を演出しています。

ここも技巧的なパッセージをはさみ、展開部に入ります。

展開部に入ると、独奏ヴァイオリンによって、まず第1主題、次に少し重々しさをともなう新しい主題が演奏されます。
そのまま展開部では第1主題を独奏ヴァイオリン、新しい主題をオーケストラが演奏することで進んでいきます。
ここでもスピッカートなど華やかなヴァイオリンの技法が登場します。

再現部は型通りです。

独奏ヴァイオリンのトリルでコーダに移ります。
勢いよく駆け抜けていく独奏ヴァイオリンと第1主題を演奏するオーケストラによって華々しい音楽が築き上げられ、全合奏によるフェルマータで全曲を閉じます。

おすすめ名盤紹介

ここでは個人的な名盤を1枚だけ簡単にご紹介させていただきます。

Vn独奏:スターン/オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団

スターン全盛期の録音ですばらしい演奏
余裕すら感じる技術でこの楽曲のすべてを表現
一気に聴き手を引き込む美しく明るいスターンの音色
1楽章3楽章コーダの勢いは凄いの一言
もっと詳しくメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲の名盤が知りたいという方はこちらの「「メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲」名盤紹介!各演奏の特徴」もあわせてご覧ください。
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